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紅玉が身をもって経験したその日の出来事の溜まり場。ペースなんてあったもんじゃない。

2017-11
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絶望の果て

独善だって偏見だって、推察不足だってイイじゃない!
全ては自己満足のためだもの。


たまには銀幕ではなく、舞台です。

「COMPOSER~響き続ける旋律の調べ」
2005年・TEAM NACS

森崎博之(リーダー)
安田顕 (ヤスケン)
佐藤重幸(シゲ)
大泉洋 (洋ちゃん)
音尾琢真(おとおさん)

…以上、いわずと知れた5人組による演劇舞台。
何ていうか、感想いっぱい!ネタバレいっぱい!
主な登場人物はベートーベン、モーツァルト、シューベルト、サリエリ、そしてベートーベンの息子カール。

ベートーベンとその息子(正確には甥)であるカールとの衝突と愛情が主軸。
そこに怨恨と未練にまみれながら、絶望を求めるモーツァルトの亡霊(作中に幽霊という表現はされないが)と、真面目だがそれ故にいまひとつ成長出来ないシューベルト、そしてこれら4人の音楽と人生に関わるサリエリがからみあって…というのがあらすじ。


ナポレオンの侵攻により母親を亡くし、父に音楽を反対されているシューベルト。
彼は、自身の作品「鱒」を侮蔑し、更にナポレオンを賛美する「英雄」を作曲したベートーベンに憎悪を抱き、その息子カールへも嫉妬と憎しみを募らせました。
そこをモーツァルトに利用され、乗せられたシューベルトは狂乱。
モーツァルトが絶望を受け継がせる作曲家として選んだベートーベンに接触し、同時にカールを追い込んでいきます。

その過程を演じるシゲはもの凄いです。
舞台上での彼は本当に狂ったように笑い、過剰な程怯えて、追い詰められる様は痛々しい。
インテリメガネな外見も手伝って、真面目な人間が壊れた際のギャップを強烈に表現していました。
ただし、舞台という独特な場所での演技とその様子で、とてもアニメ臭いキャラクターにも見えた気もしますが…
それでも魅力たっぷりです。


シューベルトを操るモーツァルトは、毒殺によって未完となった「レクイエム」の完成版を知りたいが為に、絶望の底に沈んだ作曲家に続きを作らせようとします。
そのキレっぷりたるや、登場当初からとんでもなかったです。

演じるヤスケンには、もう何かが降りているんじゃないだろうかと思う場面が多々ありました。
中盤~終盤のシリアスな場面では目の力が尋常でなく、更に台詞とともに大量の唾液(安田汁)が滴るほど。
それは笑いに繋がるものという雰囲気を一切持たず、モーツァルトという人格の言葉を紡ぐ為にはなりふり構わないというヤスケンの集中力を表しているようで、非常に引き込まれました。


ベートーベンを演じる洋ちゃんは、カールとの衝突が自身の父によるスパルタ教育とだぶって苦しむ様や、不器用な性分からカールへの愛情を上手く伝えられずに悩む姿に、キャラクター造形の深さを感じさせてくれました。

肺を病むカールをなんとしても死なせないために愛情を注いで育ててきた一方で、カールの母・ヨハンナを許さず、カールが志望したトランペットの勉強も理由(肺病の悪化を防ぐ為)も告げないまま取り合おうとしなかったり。
カールの為にと思った事が全て裏目に出てしまっても、自分の意思は曲げない頑固さ。それが洋ちゃんの考え表現する、ベートーベンの愛情の深さと不器用さなんだなぁと感じました。
作中で度々見られる洋ちゃんの激昂ぶりは、ベートーベンの神経質な部分を別の角度から強調していたと思います。


カールは当初、ベートーベンに寄って母と子の間を引き裂かれた事を知りません。
その事からもカール役のおとおさんは、序盤で比較的無邪気な様子を見せていました。
しかし、シューベルトとの接触や母との再開、自分の病気と寿命やベートーベンとのいさかいで、彼は絶望の淵へと転がり落ちていきます。

おとおさんは穏やかなカールが、徐々に不安定さをましてゆく様子を丁寧に演じ、物語に悲劇の要素を増やしていきました。
それは自殺未遂で頂点を向かえ、洋ちゃんに絶望をバトンタッチする事となります。

おとおさんから突き付けられた状況により、その後の洋ちゃんは痛々しさや悲しみに包まれ、そこから更に劇的な物語のクライマックスへ向かう事となるのです。
おとおさんは最後、絶望のまま心を閉ざすかと思いましたが…そうはならず、ハッピーエンドを向かえるようです。よかった!


サリエリを演じたリーダーは、サリエリを「可愛い存在」と語っていました。
それに沿うように、サリエリは終始穏やかでオチャメ。
ベートーベン、シューベルト、カールを励まし続ける良い先生というキャラクターで作品を駆け抜けます。

彼のポジションは、5人の濃厚な人物関係の中で清涼・緩衝材の役割を担っていました。
それは作中の人物におけるバランスを上手く調節する大事な役柄ですが、リーダーはサリエリを演じるというというよりも、リーダーが思う「サリエリはこんな人ならいいな」という希望と、リーダー本人の人格・性分を重なり合わせる事でサリエリを作りあげたのだと思いました。
そのために、サリエリだけは単なるキャラクターではなく、リーダー≒サリエリという図式が当て嵌まる程のシンクロぶりを発揮しています。
他のメンバーにはないフィット具合。
これを彼の演技における引き出しの、唯一無二なところと見てはいけない(笑)


モーツァルトの干渉によって、ベートーベン・シューベルト・カールはそれぞれが絶望を味わいます。
しかしベートーベンは、耳が聞こえなくなり、カールが自殺未遂により身体が不自由となった後、とあるきっかけでカールの為に曲を作り始めました。
モーツァルトの与えた絶望の先に見つけた音楽を、いわゆる「第九」として完成させ、シューベルトの力も借りて初演を成功させます。
ベートーベンが絶望を乗り越えて見たもの、カールへ伝えたかった想い、その全てが「歓喜の歌」に乗って響き渡るラストは、ただただ圧巻でした。


最終的にベートーベンは第九初演から3年後に死去。
また第九の楽譜を、失踪したカールへ届けようと旅に出たシューベルトも若くして亡くなります。
シューベルトの探していた、カールとおぼしき全盲のトランペット奏者がラストに登場し第九を演奏。
直後にベートーベンの姿が浮かび、息子へ拍手。
それを受けたカールの笑みで終幕を迎えます。

ひたすら相入れなかった親子が和解しておしまい、という終わり方はベタかもしれません。
しかし、歓喜の歌に包まれた舞台だからこそ、このエンディングで良かったのだと思いました。


五人が五人とも素晴らしい演技をしていましたが、個人的にはシゲとヤスケンにやられました。
役にのめり込むシゲと、役が降りてくるヤスケン。
二人のシリアスな様子や描かれた影の部分を見て、鳥肌が立ちそうでした。
残念な人間だったり、馬鹿で変態だったりする普段が嘘のようです(笑)


セットもシンプルながら、とても上手く考えられた作りです。
モーツァルトの立ち位置は、それが役柄に最大限生かされていました。
また、服装のチェンジやシルエット(人影)のみでの演技などで、5人しかいない役者が十数人の役柄を表現する様子も凄かったです。
シルエットも、スポットライトの明暗による演じ分けや影絵、顔のみが不明瞭なシルエットなど、多彩な光の表現で構成されていてとても良い演出になっていたと思います。


シリアスな中に度々見られる笑いの部分は、見た目のインパクトなどの一般的なものと、明らかに内輪ネタ・役者本人ネタなどのややマニアックなものが半々であったと思います。
マニアックなものに関してはCUEファンには嬉しい反面、全国公演というアウェーではそれが100%伝わらない事もあったようです。
またネタが伝わる人でも、邪推な笑いに映ってしまった可能性もあったかもしれません…

しかし徐々に芝居に引き込まれていくと、それらは気にならなくなりました。
笑い所は笑いをとるためではなく、あくまで芝居を重くさせすぎないためのものなのでしょう。
それにしても、「運命」の合唱においてのリーダーの使い方は見事だと思いました(笑)


今回はひたすらシゲとヤスケンに心を奪われました!
特にシゲ。
シューベルトのキャラがかなり個人的な好みに合った事を差し引いても、演技に没頭しているシゲに惚れる人は決して少なくないはずです!
予断ですが特典ディスク収録ドキュメントにおいて開演15分前の楽屋で準備万端のシゲが言い放った「開演時間を早めてくれ」という一言は、とかくカッコヨイ!
いつも遅刻魔なシゲとは思えません(笑)
シゲ格好いいよシゲ(*´Д`)

ヤスケンは元々好きなのもありますが、演技にストイックだったり、語り口が渋かったりする一面がまたカッコヨイです!その一方で妖精やヤスダ虫といった、強烈なオフショットも印象に残りますが(笑)
いつも変態なヤs(ry


水曜どうでしょうで洋ちゃんとTEAM NACSを知り、ドラバラやハナタレなどのローカルでアホな部分、アホな演技を見た後、全国ネットTV・映画での芝居を経て、ナックスの舞台と役者としての顔を見られたのは、まさに理想的なステップだったのかもしれません。

あれだけ素晴らしいベートーベンを演じた洋ちゃんが、過去にヘリで嘔吐したりマレーシアで脱糞した様子をTVで放送されていたのを後から知ったら、きっとガッカリを通り越して脱力しているはずです(笑)

とにかく、ローカル番組でナックスを好きになれたら、確実にナックスのお芝居を見るべきです。
正直、惚れます。
ぞっこんLOVEってやつです。


あんまり格好よかったので「LOOSER~失い続けてしまうアルバム」も見ることにしましたイヤッホォォォゥ!
それはまた後日。
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